Reborn As A XANA Master

Episode 29 29話「全力ハグ」


「マスター、ヒメミちゃんが――!」

決断に迷っていた俺に、マミが叫ぶ。

ヒメミがガーゴイルの右足に盾を掴まれて、三十センチほど持ち上げられていた。

マナがあれば、盾スキルのノックバックで容易に防ぐことができたはずだ……。

「マミ、ミサキにマナポーション! ミサキ、すまないがもう一度一斉射頼む」

「えっ、マスターそれはダメ!」

ヒメミが叫ぶ!

「早くしろマミ、ミサキは俺が守る!」

マミは慌ててミサキにマナポーションを飲ませる。

「リセット、ウォータージェネシス」

ミサキのいる位置にウォータージェネシスをセットし直す。

「撃ちます、マスター!」

「――だめミサキ、マスター!」

「俺を信じろ!」

ビュッ!

既に二メートルほどヒメミを持ち上げていたガーゴイルの背中に、氷結の矢が突き刺さる。

――グゲェー!

ガシャン。

ガーゴイルはヒメミを落とし、前方によろけた。

ガーゴイルのHPは三十パーセント削られ残り二十パーセントになる。

すぐにこちらにきびすを返し、翼をばたつかせながら駆けだしてきた。

「マミ、離れろ!」

マミを三時方向に突き飛ばし、ミサキの前に立ちはだかる。

「マスター!」

ヒメミの落下ダメージは少なかったようで、すぐ立ち上がりガーゴイルの後を追ってくる。

「ヒメミ、右へ跳べ――!」

「はい?」

俺の意図をすぐには理解できない。

「いけ――デビモン!」

アバターの右手に繋がれたデビルズデーモンの首を掴み、突き出した。

「グェ、なにしてくれんじゃ!」

意図を察したヒメミが、横っ飛びで伏せる。

ガーゴイルの鉤爪が到達する直前だった。

――ズキューン! ズキューン!

閃光が二度放たれた。

ガーゴイルは、後ろに反り返る。

「よっしゃー!」

だが、ガーゴイルは僅かにHPを残していた。

微かに数ミリの赤いバーが残っている。

「やばっ、ギリ足りない! もう一発撃てよ、デビモン――!」

「だから一日三発以上撃ったら溶けるっちゅーただろうが、それにデビモンじゃない、デビルズデーモン様じゃい!」

「マスター、来ます!」

マミが震える声で言う。

「大丈夫だマミ、俺が受け止める。ミサキ、もう一度撃てるか?」

分かってはいたが、返事はない。

「マスター、ミサキちゃんはスタミナ切れで意識がありません」

後ろを振り返れない俺に、マミが報告した。

「うん、だよな」

ガシャ――!

ガーゴイルの右足の爪が襲ってきたが、完全に無効化されダメージはない。

「パーフェクトディフェンス――!」

最後のマナでもう一度、完全自己防御スキルを発動する。

本当にこれが最後の策だ。

立ち上がったヒメミがガーゴイルの背後に突撃してくる。

だがガーゴイルの敵視は、俺からそれることはない。

ガシャ――!

今度はガーゴイルの左足の爪が襲ってきたが、完全に無効化されダメージはない。

「おりゃー!」

ヒメミが突撃の勢いのままに切りかかる。

ガン!

ガシャ――!

ヒメミのガーゴイルへの一撃とほぼ同時だった。

ガーゴイルの右足の爪が、俺に突き刺さる。

「うぐっ」

俺は四時方向に吹っ飛ばされ、右肩から床に落ちて、そのまま五メートル以上滑る。

「マスター! こいつめー!」

ガン!

ギャガガガガ――!

それはガーゴイルの断末魔だった。

ヒメミの二撃目でガーゴイルのHPバーが消え、床に沈んだ。

「マスター!」

ヒメミが走り寄ってくるが、右手を挙げて合図する。

「大丈夫だ、ヒメミ」

「また無茶をして! もう無茶は止めてくださいとあれほど言ったのに……」

「うっ、くっ、苦しいよヒメミ」

俺は、立ち上がろうとして片膝を立てた。

膝立ちのままの俺を、ヒメミがまるで懲らしめるかのように、きつく抱きしめてきた。

「我慢して下さい、これぐらい! お仕置きですからね」

いや、俺、今のでHPとスタミナ半分以上もってかれてるんですけど……。

ヒメミの全力ハグで、更に削られてるんですけど……。

マミも俺の背中に張り付いてきた。

「マスター死んじゃうかと思った……」

(著作:Jiraiya/ 編集:アヒッル)

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