Reborn As A XANA Master

6話「スケボーとパッション」


「えっと、それじゃこれからすることだが、まずは情報収集したいと思う」

「すみませんマスター、通信の異常については、ずっとマザーⅡ(第二世代AIマザー)に問い合わせているのですが、全く返事が来ません。繋がってはいるようなのですが……」

「ミサキもそうです、マスター」

「うちもそうどす」

「拙者もでござる」

「――マミ、あなたはどうなの?」

「えっ……」

マミはヒメミの声に、俺の右腕でぷるっと震えた。

「おっ、おんなじ……かな」

「なに? 聞こえへんで。あんたいつもマスターに甘えてばっかりで、全然役にたってへんで。最新の第三世代AIなんやろ、少しは……」

マミの瞳に涙が浮かんだように見えた、さすが第三世代AI……泣くこともできるのか……。
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「まっ、まあ、マミはまだ来て三ヶ月だし、設定も小学生みたいだから(――知らんけど)。許してやってくれ」

「なんかさ、マスターってマミには甘いですよね。さっきは、ミサキにかわ――」

「よしそれじゃー」

なんか更に揉めそうなので、俺はミサキの声を遮った。

「実は、先ほど確認したら、ギルドユニオンのメンバーが何人かインしているようなんだ。通信もマップ表示もでないから、直接行くしかないんだが、とりあえず、ザナリアン初期メンバーなら何か分かるかも知れない……」

「なるほど、そうですね。では、探しに行きましょうマスター」

ヒメミがいうとAIたちも頷いた。

「よし、まずはヤキスギさんを探そうと思う。ただ、彼のランドは俺の四倍はあって時間がかかりそうだから、手分けして探したいと思う。みんな協力して欲しい」

「はいマスター全力で」

「もちろんですマスター」

「任せとぉくれやすマスター」

「殿、ただ命じていただくだけで、よいでござる」

「マミも行く!」

どうやら今度はマミも声を張り上げたので、みんなにも聞こえた。

「じゃあ、俺はスケボーで行く。みんなほどスタミナないからな」

ダッシュするとスタミナのインジケーターが、すぐになくなってしまうのだ。

AIたちは、普段デュエルで戦うことで、レベルが上がりスタミナが多い。

ダッシュしてもかなり長く走り続けられる。

ずっとぐだぐだして、動画観たり、おしゃべりしてたりするだけの俺は、ほとんど初期ステータスのままだ。

「俺は、パッションソルトさんの店に寄って、ブースターオムライスを買っていくから、お前たちは先に、ヤキスギさんのランドに行ってくれ。現地集合ということで。それと、スタミナブースターフードやドリンクは、各自好きな物を好きなだけ買っても構わない。ジュエルはいくらでも使っていいぞ」

「ありがとうございます、マスター」

「やったー、私、苺ショートとパンケーキと……」

「ミサキあんた、無駄遣いしないでよね」

「はーい」

「うちはたこ焼き三十個買うていくわ」

「では拙者は、団子を十櫛頂戴つかまつるでござる」

 

全員がいなくなったあと、俺は壁に飾ってあったスケボーを左手に抱え、手持ちマネーを確認した。

三万ジュエルはあったので、問題ないと判断し、ウォレットからは引き出さなかった。

「マスター、ヒメミです。少しよろしいでしょうか?」

ドアの向こうで、ヒメミの声がした。

「おお、なんだ入れ」

ドアが開くと、顎を引き下から見上げる鋭い目線を送るヒメミが立っていたので、ぎくりとした。

「どっ……どおし……」

言い終わらないうちに、ズカズカと音をたてるかのように、大股で一直線に俺に向かってきた。

俺はたじろいで、壁際に追い込まれた。

「――マスター!」

その声は怒りに満ちていた。

「――マスター!」

「はっ、はいなんでしょう……?」

――ドン!

――ドン!

右手、そして左手を壁に叩きつけるように、俺の顔をはさんだ。

これが、うわさの両手壁ドン……。

好きな男子に女子がやられたいやつじゃん――!

「マスター! あれは一体何の真似ですか! 私という正妻がありながら、あの態度は何なんです!」

せっ、正妻……いつから……。

「ミサキとマミにくっつかれて、鼻の下伸ばして、ずいぶんとご機嫌でしたよね!」

「あっいや、あれは、別に、あの子たちが、強引にくっついて……」

「――なにあの子たちのせいにしているんですか! 喜んでたくせに、私なんか、そんなことさせてもらったことないのに――おかしいわ! さっさと払いのけたらいいじゃないですか!」

「いや、そんな乱暴なことは……危ないし、痛いと可哀想だし……」

「バカ言わないでください、日々デュエルしているあの子たちが、そんなにか弱いもんですか! マスターなんかよりずっと強いですよね、――あの子たちは! そんなことマスターだったら知ってますよね!」

「はっ、はい確かに、そっ、そうです……」

しまった……これ、リアルだとさすがに強烈だなあ……。

少しはデレ要素入れとくんだったな。

プライド=マックス、嫉妬性=マックス、ツンデレ比重=百対零、にしたんだよな、俺……。

いやMなんだけどさ、嬉しい反面怖いぞこれ、怖すぎる……じゃんこれ。

「いいですか、少なくとも二度とあんなデレデレを私の前でやらないでください。いいですねマスター!」

「はっ、はい……ヒメちゃん」

(著作:Jiraiya/ 編集:アヒッル)

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