パーティー全員に、オートマナリチャージ、ステータスオールブーストを使用する。
俺自身のレベルアップで、効果はかなりアップされている。
次に、新たに取得したパーティーディフェンススキルを使用する。
これは特定時間、受けるダメージを半分にするというものだ。
自身には更にパーフェクトディフェンスを使用する。
「新たに取得したスキルを説明してもらう時間はないから、各自の判断で必要な時に使用してくれ」
時間がなくなった原因は、俺が天風に質問しまくってたせいだけど……。
「はい、マスター」
「御意」
「はい、パパ」
両開きになっている、ボス部屋の扉を開ける。
「カエデと忠臣君は、自由に位置取り。マミは常に俺の後ろに、行くぞ!」
「まかせとぉくれやす」
「御意」
「はい、パパ」
四人がボス部屋に入る。
「あっ、よいたろうさん。私はこの扉を通過できますので、外の状況はまた報告にきます」
扉が自動で閉まる間際に、天風が声をかけた。
「分かりました」
――バタン、ガチャ。
自動でロックがかかった音がする。
部屋が薄暗くなり、恐怖感を演出するBGMが流れ出す。
三十メートル四方ほどの部屋の中央には祭壇があり、その中央が光り出した。
カエデと忠臣君が、その祭壇に走り寄る。
おそらく自分たちの射程に入れるためだ。
ボスの形状がぼんやり浮かび上がると同時に、カエデがステルスを使う。
忠臣君は、ボスまで十メートルほどの距離で立ち止まり、鞘に手をかける。
その距離から攻撃できるスキルを得たのか……。
――ドドン!
効果音と共に、最終ボスが完全に姿を現した。
高さは十メートルほどで、胴体から八つの蛇の頭が伸びていた。
これはどう見ても八岐大蛇だろ。
「行くでこざる、燕返し!」
刀を抜き、上段から斜めに振り下ろし、すぐさま刃を反転し切り上げた。
V字の斬撃波が、八つの頭のうちの一つに正確に飛んでいく。
スパン――!
グギャ!
八岐大蛇の首が一つ刈り取られて地面に落ちる。
まじか、一撃で首を一つ落とした!
「凄いぞ忠臣君!」
「殿、こいつは意外ともろそうでござる」
「風遁カマイタチ!」
カエデは、八岐大蛇の右に回り込み、クナイを放つ……かのように見えた。
しかし、クナイはそのままカエデの手に残り、その残像だけが飛んでいった。
スバッ――!
グギャ!
クナイの残像が、八岐大蛇の首の一つを貫いた。
切り取られてはいないが、その蛇首は目を閉じ、胴体に繋がった根元から垂れた。
残っている蛇首は、あと六つだ。
「カエデ、ナイスだ!」
二人とも凄い攻撃力じゃないか!
ミサキがいなくても――。
一瞬、そんな思いが脳裏をよぎったが、すぐにその思考を止めた。
――ボッ、ボッ、ボッ、ボッ。
祭壇下の四隅が突然青白く光り、何かが出現した。
それは、高さ五メートルほどの一つ目の巨人だった。
ファンタジー系では定番の、サイクロプスという一つ目の巨人モンスターだ。
サイクロプスは、右手に持っている棍棒を振り上げた。
忠臣君は俊歩で後退するが、カエデはクナイを構え、次の攻撃態勢に入った。
だが、サイクロプスは棍棒を振り下ろさず、その目が白く光った。
その瞬間、カエデのステルスが解除され、姿が露わになった。
「逃げろカエデ!」
二時方向のサイクロプスが、カエデ目がけて棍棒を振り下ろした。
カエデはすぐに右に跳び、その一撃をかわした。
だが、八岐大蛇の後ろにいた別のサイクロプスが、既に突進してきていた。
カエデの着地際をカウンター気味に棍棒でゴルフスイングした。
ドン――!
カエデは、自分の身体ほどもある棍棒に直撃された。
カエデの身体はゴルフボールのように飛ばされた。
ガツン!
入口の木製扉に激突した。
「カエデ!」
扉に叩きつけられたカエデは、すぐに立ち上がろうとしている。
ステータスを確認すると、HPは六十パーセント残っている。
スタミナもマナも九十パーセントだ。
一撃四十パーセントは大ダメージだが、大丈夫だ。
パーティーディフェンスをかけていなかったら、倍の八十パーセントは持っていかれていただろう。
これは、パーティーディフェンスを途切れさせたらヤバい。
「マミ、ヒール!」
「はい」
向かって右側手前にいた、カエデを最初に狙ったサイクロプスがこちらに突進してくる。
さらに、カエデをゴルフスイングした、右側奥にいたサイクロプスもその後ろから突進してきた。
向かって左側のサイクロプス二体は、忠臣君を追い回すが、俊歩でかわしている。
「ヒール!」
マミのヒールで、カエデのHPは完全回復する。
「かんにんえ、油断してもうた」
カエデは立ち上がり、クナイを構える。
「魅了!」
俺は、向かってきた最初のサイクロプスにスキルを使った。
サイクロプスは立ち止まり、ふらつく。
「風遁カマイタチ!」
そこへすかさず、カエデがスキルで攻撃する。
サイクロプスの胸を貫通し、HPが半分になる。
しかし魅了が解除されてしまい、再びこちらに向かってくる。
「ヤバっ――幻惑」
今度は範囲スキルの幻惑を使う、すぐ後ろにもう一体のサイクロプスが迫っていたからだ。
狙い通り二体に幻惑がかかった。
二体は、敵も味方もなく、動き回りながら、めちゃくちゃに棍棒を振り回しだした。
ガツン!
一発が俺に当たったが、パーフェクトディフェンスでダメージはゼロ。
想定内だったので問題ない。
「魅了!」
HPが半分のサイクロプスに、魅了をかけて動きを止めた。
「風遁カマイタチ!」
そこへカエデが一撃を加えると、HPはゼロになり塵となった。
「魅了!」
さらに、もう一体の動きを止める。
レベルアップとともに、耐性のないモンスターに対しては、九十パーセントの確率で発動するようになっていた。
よし、単体対象スキルだがこれは使えるぞ!
「風遁カマイタチ!」
そこへカエデがスキルを使い、サイクロプスのHPは半分になる。
「スリープ!」
カエデの攻撃で魅了が解ける瞬間、マミが機転を効かせてスリープをかける。
これも見事に発動して、サイクロプスは跪いて目を閉じた。
「いいぞマミ、ナイスだ」
「はいパパ、やりました!」
だが、カエデの攻撃はない……。
「マナ切れどす、貯まるまでまっとぉくれやす」
カエデはスキルの連続使用で、マナが足りなくなっていた。
スタミナはまだ半分ほどある。
「わかった。こいつには攻撃せずに、しばらく眠らせておく」
「はい、マスター」
「魅了!」
忠臣君を追い回しているサイクロプスの一体に魅了をかける。
だが、運悪く効果がない。
十パーセントの外れがでるとは……。
「くそっ、――魅了!」
マナが心もとないが、再度スキルを発動する。
今度は無事発動、一体のサイクロプスが攻撃をやめ、ふらふらとよろめく。
「殿、かたじけない」
忠臣君は、二体に追われて攻撃する間もなく、俊歩で逃げ回っていた。
ステータスをみると、スタミナを半分ほど消費していた。
「燕返し」
魅了で動かなくなったサイクロプスは放置し、向かってきたサイクロプスを俊歩でかわし、十メートルの間合いをとり、スキルを発動。
サイクロプスのHPを六十パーセントほど削った。
燕返しは、カエデの風遁カマイタチよりもスキル発動時の動作が大きいが、攻撃力は高いようだ。
忠臣君は、さらに俊歩で何度か移動し、間合いをとる。
「燕返し」
二度目の燕返しの斬撃を受けたサイクロプスはHPを失い塵になっていく。
さらに忠臣君は、魅了スキルでふらふらしているサイクロプスに狙いを定める。
だがその時、ボスの八岐大蛇が赤く輝いた。
「注意しろ! 何かくる!」
地面に赤く輝くゾーンが出現した。
よく見ると、八岐大蛇の半径十メートル以内は赤くなっていない。
なんだこれは……ボスから十メートル離れているところが危険ということか……。
そうか、これは……範囲攻撃!
「中心に逃げろ!」
壁まで広がっていたので、中心部の赤くなっていない範囲に逃げるしかない。
ゴォー!
地面の赤いゾーンに真っ赤な火柱が立った。
「うわっ」
「きゃっ」
「やばどす」
忠臣君以外は間に合わず、火炎ダメージを食らう。
俺、マミ、カエデが二十パーセントほどHPを失った。
魅了されていたサイクロプスも、HPを半分失っていた。
サイクロプスはその攻撃で魅了が解除され、こちらに向かってきた。
「パーフェクトディフェンス――」
忠臣君は間に合わない、カエデのマナもまだか……俺が受け止めるしかない。
前に出て、自ら棍棒ダメージを食らう。
ガツン!
パーフェクトディフェンスの発動でダメージはない。
サイクロプスは再び棍棒を振り上げる。
攻撃力は高いが、準備動作はのろい、もう一度スキルをかける余裕は充分ある。
「パーフェクトディフェンス――」
これはマナの消費が激しいが、仕方がない。
ボスに近づいた忠臣君は、蛇首に狙われるが、俊歩で反転し距離をとる。
「――燕返し」
忠臣君が、サイクロプスの後方から攻撃する。
よし、やったぞ!
四体目、最後のサイクロプスのHPがゼロになり、塵と消える。
その瞬間、また地面が赤くなる。
今度は中心角百度ほどの扇形だ。
「回避!」
カエデと忠臣君は九時方向に、俺とマミを乗せたセンちゃんは、三時方向に走る。
ゴォー!
赤くなった地面から火柱が上がる。
「くそっ……」
俺とマミは間に合わず、二十パーセントのダメージをもらう。
ブォー、ブォー、ブォーッ。
八岐大蛇の蛇首三体から、火炎放射のような炎が走った。
龍のファイアブレスのような攻撃だ。
範囲攻撃を逃れた忠臣君を狙ったものだった。
忠臣君は最初の火炎放射を間一髪、俊歩でかわした。
しかし、二射目が移動先に放射されたため、直撃を受ける。
さらに、俊歩で移動したところを三射目が直撃した。
忠臣君はHPの二十パーセントを失った。
ブォー――。
四つ目の蛇首がさらに、忠臣君を襲う。
忠臣君が壁まで俊歩で待避した。
どうやら射程距離は十メートルほどらしい。
忠臣君は射線上にいたが、炎は壁まで届かなかった。
ということは……十メートル以内に近づかなければ、あの火炎放射ブレスは怖くない。
しかし、範囲攻撃は壁際まで届き、避けるには八岐大蛇の近くにいた方がいい。
なるほど、遠近両方の攻撃持ちということか。
ただ、防御力はそれほどでもなく、二つの蛇首でHPが二十パーセント減っている。
残り六つの蛇首を落とせば、ダメージは八十パーセントになる計算だ。
ということは、本体のHpは二十パーセントだけということだ。
「よし、まずは首を落とすことを優先しよう。カエデ行けるか?」
「マナ貯まったさかい、二回はいけますえ。ステルスで近づきますえ」
「ボスもステルス解除できるかもしれないから注意しろ」
「了解どすぇ」
「忠臣君は、……少しスタミナ回復したほうがよさそうだな」
「範囲きます! みんなマミの近くに来て――!」
八岐大蛇から半径十メートル外側の床が赤くなる。
マミの意図することがよく分からなかったが、回避するために八岐大蛇に近づけば、ブレス攻撃がくる。
全員がマミのそばにダッシュする。
「行きます――魔防陣!」
マミを中心としてクリスタルのような球状の結界ができ、全員がその中に包まれた。
ゴォー!
周囲に火柱が立ったが、球状の下から上がった火柱は、球面に沿って四方へ流れた。
完全に防ぐことができたようで、誰もダメージを受けない。
「ナイスだマミ! これで守れるのは魔法だけかな?」
「はいパパ、魔法なら全部対象です」
「よし、また範囲攻撃がきたらマミの元へ、カエデはステルスが無効化された場合のみだ」
「はいマスター」
「御意」
「マミ、この結界の継続時間は?」
「マナの続く限りだよ、パパ」
「分かった。マナ切れに注意してくれ」
「はい」
「忠臣君はスタミナ回復までマミのそばで休息、俺のブーストスキルで回復スピードは三倍になっているはずだ」
「御意! マミ殿、しばし頼むでござる」
忠臣君はマミのそばにあぐらをかいて座った。
「うん」
「カエデ行くぞ、効くか分からないが、魅了をかける」
「了解、マスター! いくで、ステルス」
カエデがステルスを発動して八岐大蛇に向かってダッシュする。
「魅了――」
甘美な効果音が流れ、蛇首たちの目が泳いだ。
効いたのか――!
「風遁カマイタチ」
――ピカッ。
カエデのカマイタチが届く前に、蛇首の一体の目が光った。
カエデのステルスが解除され、姿が露わになる。
魅了の効果は、ほんの数秒で失われたらしい。
スバッ――!
グギャ!
クナイの残像が、八岐大蛇の首の一つを貫き胴体から垂れる。
――ブォー。
――ブォー。
――ブォー。
次々と蛇首たちのブレスが、カエデをめがけて放たれる。
カエデは最初の一撃で、半身に炎を浴びたが、あとはヒラリ、ヒラリと木の葉が舞うようにかわす。
十パーセントほどHPを失うが、カエデの身体に延焼はない。
――ブォー。
四つ目のブレスがきた時には、既にカエデは射程外まで退避していた。
「カエデちゃん、範囲くる!」
マミが言った瞬間、床が扇形に赤くなる。
もしかして、マミは予期できるのか?
カエデがマミの元にダッシュしてくる。
ゴォー!
赤くなった床から火柱が上がる。
「――魔防陣!」
間に合わず、全員五パーセントほどダメージを受ける。
「ゴメン、うちが遅くて……」
カエデが魔防陣に入るまで待った結果だからしかたがない。
「大丈夫だ、これぐらい大したことはない」
「カエデ、もう一度行くぞ」
「はいマスター、今度はすぐ戻ります」
「マミ、スリープを使ってみてくれ」
「はい、パパ」
俺のマナは残り三十パーセントを切っている、マナリチャージの回復が追いつかないので、少し温存したい。
「ステルス!」
「スリープ!」
蛇首たちの目が閉じていく。
問題は継続時間だ。
「よしかかったぞ、いけカエデ!」
「風遁カマイタチ」
クナイの残像が蛇首の一体に飛んでいく。
命中――!
眠ったままの蛇首が胴体からしなだれた。
カエデは、すぐにこちらにダッシュしてくる。
もう、カエデのマナは切れている。
――ピカッ。
やはり、ボスだけあって、効果は短いようだ。
蛇首たちが次々と目を覚まし、一体の目が光ってカエデの姿が露わになる。
――ブォー。
――ブォー。
二体の蛇首がブレスを放ったが、既にカエデは射程外に到達していた。
「よし、いいぞ!」
これで残りの蛇首は四体だ。
このパターンでいけば、問題ない。
次は範囲がくるはず――。
――ボッ、ボッ、ボッ、ボッ。
祭壇下の四隅に、突然青白い光が現れた。
「くそっ、サイクロプスだ! ――マミ、スリープ」
「はいパパ、スリープ!」
「魅了!」
再生したばかりのサイクロプスに、スリープと魅了を使う。
八岐大蛇の前方両端にいるサイクロプスは、それぞれ動きを止めた。
後方のサイクロプスが動き出す寸前に、床が扇形に赤くなった。
「範囲攻撃きますえ」
カエデがマミの元に戻ってきた。
「――魔防陣!」
ゴォー!
火柱が上がるが、誰もダメージを受けない。
サイクロプスたちもその範囲外だ。
八岐大蛇の後方にいたサイクロプスたちが突撃してくる。
「殿、十一時方向は、拙者が引き受けるでござる」
「頼む、忠臣君」
「パパ、二時方向はマミが眠らせるよ」
「了解、カエデはマナ回復に専念」
「はい、マスター」
《オブロ開発会社の第二研究棟》
オーブン隊長率いる第一班は、階段を上がり、二階オフィスの扉の前に着いた。
エレベーターと、三階に上がる階段がある。
ARゴーグルでのみ確認できる、ドア横のパネルのロック解除ボタンを押す。
――ジッ。
『オーブンたん、そっちはどう? 一階の警備AIは二体だけで処分完了。会議室が二つあっただけで、偽イブの端末らしきものもなかったよ』
ヘッドセットにリアムンさんの声が届いた。
「了解です、リアムン隊長。こちらはこれから二階オフィスに突入します」
『了解、こっちはエレベーターで三階行ってみるね』
――ジッ
「はい、ではまた後ほど」
『らじゃ』
――ジッ。
「マコさん、ドアを開けてください。俺が突入します。モネさん援護頼みます」
「分かりました」
「了解モネ」
「じゃあ開けますよ、三、二、一」
マコさんが勢いよくドアを引く。
オーブン隊長が身を屈めて突っ込み、近くの机に隠れる。
モネさんは、その背後に立ち銃を構える。
――ピン! ピン! ピン!
――ピン! ピン!
「モネー!」
モネさんに次々と射撃が命中し、慌てて廊下に引っ込む。
「危なかったモネ、ヘッドショットもらったモネ、ARグラスに当たるかと思ったモネ」
モネさんは当たり判定で、三分間ARグラス機能停止、敵を認識できない。
――ピン! ピン! ピン!
机の影に隠れたオーブン隊長は身動きするたびに射撃されて動けない。
「何人いました?」
マコさんが尋ねる。
「五人ぐらいはいたモネ……でも、なんかプレイヤーみたいな気がするモネ」
「プレイヤー?」
「うん、ARグラスかけて、色んな迷彩服着てたし、ライフルみたいなの持ってたモネ。XANAのFPSゲームワールドによくいる感じの出で立ちだったモネ」
「なるほど……プレイヤーにゲームをさせて護らせてるってことかも……うまいこと考えやがったな」
「きっとそうモネ。ヘッドショットもらったから、かなり射撃うまいモネ」
「これはちょっとやっかいですね」
「あっ、それと、机に何台かパソコンあったモネ、もしかして端末かもモネ」
「おっ、そうですか……これは制圧しないとですね」
《オブロ開発会社の第二研究棟最上階》
「チーフ、一階は制圧されました。二階はプレイヤー五名が防戦中。三階に侵入者が向かっています」
「三階と四階のプレイヤーは?」
「三階に入ったプレイヤーは二人、四階はいません。AI警備員は全員四階に送りましたが三体だけです」
「くそっ! あっちもこっちも邪魔しやがって、クローンイブがやられる前にオブロを陥落させる。俺が直接入る」
「えっ、でもログアウトできなくなる危険性が!」
「落とせば問題ないし、逆に落とされても正常に戻るだけ。どっちにしてもログアウトできるようになるさ」
「ああ……確かに」
「俺が組んだホワイトペンギンを使う」
「はい。では、オブロの拠点にチーフのバスタープログラムを送り込みます」
網代は第三世代AIゴーグルでクローンイブにログインした。
「いいぞ」
「はい、今送信しました」
《オブロ地下第五階層》
オブロ地下第五階層で、赤ペンギンたちを攻撃するモンスターたちがいる。
天風の指示で、ジライのAIたちも赤ペンギンを向かえ撃っている。
突如、赤ペンギン群れの中に、その倍の大きさの白いペンギンが現れた。
――ズドン!
(著作:Jiraiya/ 編集:アヒッル)