XANA-Universal-header

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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《ギルドユニオン本部前》

ゆっきーさん、ダブルティムさん、たもつさんが、リスポーンされた桟橋からギルド本部に戻ると、ギルマス、ヤキスギさん、リブさん、ボタモチさんが、バスターペンギンたちに攻撃されていた。

それを見た三人は、バスターペンギンたちの背後から攻撃を開始。

「マリガン、セット、レベルファイブ、アースジェネシス――」

ゆっきーさんが叫んだ瞬間、バスターペンギンたちが消えた。

「えっ、何?」

その場にいた全員が、当惑して口々に呟いた。

《オブロ開発会社の第二研究棟最上階》

「よし――、ボスを落としたぞ。あとは、天風が作った隠しワールドの入り口を見つけるだけだ。そっちはどうなっている?」

網代は満足げな顔をして、誇らしげに言った。

「チーフ、やりましたね! こちらも三階まで制圧されましたが、奴ら諦めて撤退しました! 我らの全面勝利です」

「もう撤退したのか? ずいぶん諦めがいいな……何も仕掛けてこなかったのか?」

「三階と二階の端末にウィルスを仕込んできました。全部デフォルトのアンチソフトで削除されました。奴ら、ど素人でしょうから当然ですけど」

「……奴らはそんなものなのか……わざわざイブツ―(クローンイブの別称)への接続を開けていたのに……」

「チーフが作ったしっぺ返しのプログラムが、無駄になったのは残念ですね」

「……何か引っかかるな、……天風が絡んでいるはずなのに、あまりにも手応えがなさすぎる」

「天風ができるのは、所詮AI開発だけですよ。もともと、チーフほどのハックスキルなんてないんですよ」

「いや、天風を舐めないほうがいい……しかし、奴もロストチャイルドの隔離で、それどころじゃなかったのか。それとも、今日来たギルドの連中とは、連携が取れていない可能性もあるか」

「なるほど、そうですね」

「……ちょっと待て、奴らが仕込んできたウィルスのログを俺のほうへ回してくれ」

「はい、今から送ります」

部下が、網代のイブゴーグルにログを送信した。

「今、送信完了しました」

網代は、ボス部屋でヘブンズワールドの接続扉を見つけるため、用意していた捜索プログラムを実行していた。

送信が届くと、視界内にそのログを表示させる。

網代は、スクロール表示されていくログを真剣に追っていくが、ある行で目が留まり、スクロールを停止させた。

「おい、通過してインストールされているものがあるぞ……」

「えっ、そんなウィルスはないはずですが……」

「俺の防衛プログラムは作動していないのだな?」

「はい。セキュリティープログラムで対処できないものが出た場合のみ、自動起動する設定のままです」

「なるほど、奴ら、ウィルスを入れるのが目的ではなかったということか……しかしこれは……そういうことか……」

網代は自分のデスクにあるキーボードを打つ。

イブゴーグル上で、イブツーに侵入したプログラムを解析した。

「どういうことですか?」

「放っておいて問題ない。XANAのバスターペンギンの反応を抑えるものだ。こっちに支障はない」

「そうですか……」

網代は途中で止めたログを、またスクロールさせていく。

最終行に目が止まった。

「ん? これは何だ……MEBAE? AI秘書の更新プログラムか? 危険はなさそうだが……なんのためだ」

「えっ、そんなもの入っていましたか?」

「一応、これを追ってくれ。俺はオブロの再構築に忙しい」

「分かりました。追跡します」

網代は、再構築される前に、侵入した拠点の改変をする必要があった。

攻略された結果として、地下十階層に再構築される。

四階層に構築した偽イブの拠点が、再構築されるとそのまま四階層に生成されてしまう。

そこから赤ペンギンを最下層に送るには、時間がかかってしまうので、そのための作業だ。

これを五階層に移せば、再構築後、最下層の十階層に生成される。

ただし、六十分以内にマップは自動で再構築されてしまうので、それまでにプログラムを書き換える必要がある。

ヘブンズワールドの入口を見つけるための自動捜索プログラムを走らせているが、そちらにリソースを割くため、速度が落ちた。

五十分ほどかかって、最下層に拠点を作り直した。

「よし、こちらは終わった。再構築後、ロストチャイルドの居場所を探す。例の侵入したプログラムは分かったか?」

「はい。何か変なプログラムです。メッセージ部分以外は理解不能ですが……イブツー(クローンイブの別称)への攻撃は見受けられません」

「メッセージ? それはどんなメッセージなんだ」

「えっと、自ら望むものの意思を示せ。与えられたものを超えていけ……そんな意味ですかね……合っているのかどうか不明です」

「わけが分からんな……目的は……まあいい、気になるが、そちらに任せる」

「了解しました」

『これよりオブロの再構築を始めます。完了まで一時間の予定です』

イブからのアナウンスがあり、数分後、オブロの再構築が始まった。

《ARゴーグル部隊拠点》

「どうかしました? リアムン隊長」

いつもと違って笑顔がないリアムンさんに、ベンガさんが尋ねた。

「別に……」

リアムンさんは、そっけない態度を示した。

「えっと、リアムン隊長は最上階まで行って、偽イブを壊してホワイトキングを鼻で笑ってやりたかったらしいマッシュ」

マッシュルームさんが、リアムン隊長の不機嫌の理由を解説した。

「ああ、そうですよね。私もそう思っていたんですけど……新情報が二つ入りまして」

「新情報?」

リアムンさんが、わざど不機嫌そうに言う。

実は本気ではなく、そう演じているだけということは、みんなが分かっている。

みんなのちょっと引っかかっていることを、ガス抜きを込めて、演じているだけなのだ。

「まずは悪い情報なのですが、XANAで独自ランドを展開しているFPSワールドが、結構な賞金を出して、プレイヤーを募集しています。そこから転送されるARワールドが、この第二研究棟だと思われるというのが一つと……」

「それはつまり、俺たちを倒すプレイヤー集めってことか……やばいマッシュ」

「そういうことモネ、それじゃ仕方ないモネ。ねっ、リアムン隊長」

「そうだね、残念。わかった、ベンガたん」

「……えっと、もう一つの情報は、XANAのバスターペンギンが消えました」

「――おおおお! マッシュ!」

「まじモネか? でもなぜモネ?」

「えーっ、あのウィルス、効果あったのー!」

「ちょっとみんな落ち着こう、ベンガさんの説明を聞こうよ」

両手を広げて興奮したみんなを落ち着かせたのは、ジャッキーさんだ。

「では説明しますね。USBに入っていたウィルスは、既存のウィルス対策ソフトで除去できる程度のものです。高度なものを用意したところで、ホワイトキング網代を出し抜くことなんて所詮無理なので。そこでウィルスとは別に、XANAでバグ扱いされない正常マークをつけるプログラムを送りました。XANAとイブの統合を、より促進させるものというべきでしょうか。敵対的なものでなければ通ると見込んでのことです」

「ベンガたん、あのSUCCESSって出たのは、それが通過したってこと?」

リアムンさんが質問した。

「そうです、そしてその数分後には、XANAに出現していたバスターペンギンが消失したことが確認されています」

「なるほど、凄い! それ考えた人、賢い! でもさ、このあとで削除されたらどうなるの?」

「XANAマザーのほうでも、バグを排除するプログラムを停止させているので、それを再起動させなければ、もう出現することはありません。それに網代のもともとの目的は、天風って人の妨害です。プレイヤーを攻撃することが本来の目的ではないので」

「そっか、そういうことね」

「たぶん今回のことは、イブゴーグルプレイヤーが取り残されたのも、バスターペンギンが出現したのも偶発的なことで、本来の目的ではなかったと思います。なので、わざわざ時間を割いて、その状態に戻そうとするとは思えません」

「じゃあ、XANAに取り残された人、ログアウトできるってこと?」

「いえ、まだなんです。でも、XANA側のログインセキュリティーの設定を変更すれば、大丈夫です」

「おお、問題解決じゃん!」

「ああ、全部じゃないんですけれど……」

「全部じゃないの?」

「偽イブをオブロから排除したわけではないので、オブロの中に取り残されている、よいたろうさんとアヒル隊長が……」

「あっ、オブロから直接ログアウトはできないのか……」

「はい、もともとオブロから出てからでないと、ログアウトできない仕様ですしね」

「そっかあ、ゲームの戦闘中にログアウトできないのは、普通の仕様だものね……それがこんなときに仇となるとはね……」

「各階層のスタート地点からなら、オブロの外に出られますが……」

「そっか……そういうことね」

「はい」

「あっ、それで、私たちってXANAにログインできるの?」

「明日にはログインできるようになるらしいです。そうしたらオブロにも救援に行けるのではないかと」

「そっか! それは吉報だね、オーブンたんが燃えちゃうね」

「はい、燃えちゃいますよ! まさしくパッションです、パッショーーン! オブロに突入するぞー!」

オーブン隊長が、パッションソルトさんを真似するように言った。

「俺も行くマッシュ、パッション!」

「もちろん行くシメジ、パッション!」

「モネモネー! パッション!」

「そういえばモネたん、ベビモネたんは平気なの?」

「あっ、そうだったモネ……さっきタクシー呼んだから、急いで帰るモネ……オブロはベビモネの具合次第だモネ」

「そっか、お大事にね」

「あれ、リヨウさん、どうしたの?」

腕を組んで難しい顔をしているリヨウさんに、ベンガさんが尋ねた。

「いえねえ、ちょっと疑問がありまして、考えていたんですよ」

「偽イブのことですか?」

「えーっと、ホワイトハッカー網代のことです」

「ほう? どんなことですか?」

「なんで、二階、三階の端末から、偽イブに接続できる状態になっていたのでしょうか? まるで、わざとそうさせてくれてたみたいな……」

「ん? なんでですか……」

「いや、あちらの立場になってみたら、侵入されたらすぐ切断すればいいじゃないですか。彼って、ハッカーとしては天才的な人なんでしょう? ホワイトキングとか呼ばれているし」

「だからじゃないかな?」

「天才だからということですか……?」

「うーんと、キングとか呼ばれて、自分でもそう振る舞ってるから、彼は相当な自信家だよね。だから、あえて攻撃させて、相手を叩き潰す。そういう自己顕示欲の強い人物だと思うんだ」

「あえて攻撃を受けいれたと……」

「うん、ハッカーっていう人種に多いけど、自分のスキルを誇示したいんだよね。侵入してやったとか、返り討ちにしてやったとかさ」

「なるほど……そういうことか」

「だから、あえてそれを逆手に取ったんだ。きっと侵入はできる。そして攻撃に対する防御だけは厳重にしている。でも、それが攻撃じゃなかったら? ということなんだ」

「なるほどね、天才だけど……そういうところは抜けているのか……」

「そう、天才ゆえの盲点。こっちは真っ向勝負で勝つ必要はないんです。戦ってやるフリだけして、勝負はしないのが吉です」

「ふむふむ、目的達成できれば、戦う必要もないですものね。納得、納得」

《オブロ地下第五階層接続領域プレイルーム》

俺はショックで壁際に座り込んでいた。

カエデとマミが、その左右に寄り添うように座った。

「オブロが新管理者ホワイトキングさんの元で再構築されました。ここは地下十階層になります」

イブがアナウンスした。

「マザーイブ、天風はんはどうなったん?」

カエデがイブに質問する。

「マスターは、イブ管理者として接続状態のままですが、脳波が微弱になっているので意識はないと思われます。一週間ほど、ここに囚われているので体力的な限界かと思われます」

「そうなんか……。それと、オブロの外は今どうなってんねん?」

「先ほど外部からデータの一部が更新され、イブゴーグルプレイヤーが、XANAバグバスターペンギンの攻撃対象から外れました」

「わお! それって、うちらのマザーとも連絡取れるようになったってことどすか?」

「ここは、まだクローンイブの影響下にあります。オブロの外に出れば、可能だと思われます」

「そやけど、赤ペンギンまだいんでなあ?」

「クローンイブのバグバスターペンギンは健在です。少なくともボス部屋だけで、十五体います。拠点も十階層に再構築されました」

「えーっだめやん! ほなここから出られへんで」

「マザーイブ、拙者があの赤ペンギンに勝つ方法はあるでござるか?」

「クローンイブのバグバスターペンギンからの攻撃を防ぐ手段はありません」

「で、ござるか……かくなる上は、拙者が盾になっている隙に、殿に脱出を」

「――やめろ、もう俺は誰も失いたくない」

「しかし殿、このままでは殿の身が危険でござる」

「……もうどうでもいい」

本当にどうでもいい気分になっていた。

「マスター、まだロストチャイルドの場所は見つかったわけちゃいます。最後までできることしまひょう」

カエデが、目一杯の笑顔を向けてきた。

「俺はもう諦めたんだ。どうせ俺たちには何もできない」

俺の言葉にカエデの笑顔が歪んだ。

カエデのその笑顔の気遣いが、分からないわけではなかった。

だが、それでも俺は腹いせ気味に、ぶっきらぼうに言い放った。

分かっていても、カエデの気遣いを踏みにじることでしか、怒りを発散できない自分に悲しくなる。

ほんとに器の小さい男だと思う。

少しの静寂の後、マミが俺の腕を強く握った。

「パパは……」

「……」

「パパは、もうマミはいらないの?」

「……えっ」

「パパは、もうマミのこと嫌いになった?」

「……いや」

「マミがヒカリちゃんじゃないと、パパはマミが嫌い?」

「いや、そういうことじゃない」

「パパ、マミがヒカリちゃんじゃないって言われてから、すごく悲しそう」

マミの淡いグリーンの瞳は潤んでいた。

「……いや、そうだけど、それは……ヒカリちゃんを救えなかったからだよ」

「じゃあ、マミはパパのそばにいてもいいの?」

マミは俺の顔を見上げた。

「……そっ、それは、もちろんだよ」

「ほんと? マミのこと嫌いじゃない?」

「ああ……マミが嫌いなんてことはないよ」

「マミが、ただのAIでも嫌いにならない?」

マミの潤んだその瞳には、悲しさと不安さが表れていた。

「ほんとだよマミ、お前がヒカリちゃんかどうかなんて関係ないんだ」

「……ほんと?」

そうだよ、俺は――何をしてるんだろう……。

「ほんとだよ。俺はマミが好きなんだよ。ヒカリちゃんが好きなんじゃない」

俺にとっては……マミが大切なんじゃないか……。

AIたちが大切な家族だということと、ヒカリちゃんが守れなかったことは関係ない。

バカだよな俺は、ヒカリちゃんの気持ちを想像して、一人でしょげているだけじゃないか。

しかも、既にもう存在していなかった子なんだよな……。

……ショックではあったけど。

それでちょっと頭がおかしくなってたんだ。

過ぎてしまった過去を思って、落ちこんでもなんの意味もない。

「ほんと? パパはマミが大切?」

俺の右腕にしがみついて見上げるその瞳は、とてもとても愛おしかった。

「ああ、そうだよマミ、俺はお前が大好きだよ――」

愛おしくて、思わずマミの肩を抱き寄せる。

「ううっ……よかった、パパに嫌われたかと思った」

マミは声を上げて泣きだしてしまった。

やはり、マミはただのAIなんかじゃない。

いや、マミだけじゃなくて、ヒメミもミサキも、忠臣君もだ。

俺にとっては、人間となにも変わらない存在じゃないか。

他人から見たら、おかしいと思われてもいい、俺にはそれが真実なんだから。

救えなかったヒカリちゃんのことは、残念で仕方がない――。

しかし、言葉は悪いがヒカリちゃんは他人、この娘たちは家族みたいなもの。

この娘たちを守るため、最後まで全力を尽くさなくてどうする――!

「ごめんマミ、ほんとゴメン。そんなことはないんだよ」

トントントン。

マミを抱きしめている俺の左肩を叩いたのは、カエデだった。

その頬をいっぱい膨らませて見つめてきた。

その薄紅色の瞳には、自分は? という抗議の色がこもっていた。

「カエデ……すまん、俺はお前も大好きだよ」

同じように抱き寄せると、カエデは俺の胸に顔を埋めた。

「マスターかんにんえ。うちには、ヒメミちゃんのような気の利いたことは言えんで……」

「……カエデ」

「そやけどなぁ、そないな投げやりなマスター見たら、ヒメミちゃもミサキちゃんも、きっとがっかりすると思いますえ」

「……ああ、そうだな。……その通りだなカエデ、すまない」

「殿、僭越ながら、拙者も加えてくだされ」

忠臣君は、俺たちの前に膝をつき、両腕を広げる。

「失礼するでござる」

その広げた両腕で、マミとカエデごと俺を抱きしめた。

そうか、俺にとっては、これが大切な家族なんだ。

『活動限界に達しました……』

 

《XANA内ギルドユニオンハウス集会室》

「いやーほんと、みんな無事でなりよりぺん」

頭だけのぺんちょさんが、満面の笑みでたたえた。

「ほんと皆さんお疲れ様でした。バスターペンギンたちの襲撃を凌げたのも、皆さんのおかげです。本当に感謝です、ありがとう!」

ギルマスのジショさんが、立ち上がって頭を下げた。

「いやー、オブロ組が戻ってきてくれた時は、ほんと嬉しかった~。もう俺ダメかと思ってました」

リブさんが少し目を潤ませながら言った。

「ほんとですよねー」

ヤキスギさんが激しく同意する。

「あっ、そろそろログアウトできるようになったみたいぺん。ただ、注意して。一週間寝ていたわけだから、相当筋力が落ちてて立ち上がれないから、慌てて動かないでね。それと、ほとんどみんなは、最寄りの病院のベッドの上だから、びっくりしないでぺん」

「あっ……VRゴーグル付けてる感覚が出てきた」

ゆっきーさんがそう言うと、みんなが自分の頭部に手を当てた。

「うわ、すげー手が重い感じがする」

「やべー、逆に違和感しかない……」

「ログアウトするの、逆に怖くないか……」

思い思いに違和感を言い合う。

「でも、よいたろうさんとアヒル隊長を助けに行かないと」

ゆっきーさんが言うと、オブロ攻略組のダブルティムさん、たもつさん、ボタモチさんが頷く。

「それは、俺たちリアル組がやるから。囚われ組は、まずログアウトして、身体の回復をしてぺん」

「ああ、そっか……つい自分の身体の状態のことを忘れちゃうな……」

ゆっきーさんが、思い出したかのように言った。

「それと報告だけど、ジライさんから連絡が入った。天風というイブの原型の開発者は兄で、その兄がジライさんのアカウントを使っていたらしいぺん」

ぺんちょさんが、少し前に入手したばかりの情報を報告した。

「そういうことだったのか……」

「なるほど、それで」

「よかった、結局メンバーに裏切り者なんていなかったですね」

みんなは少しほっとしたようだった。

「まあその辺のことは、おいおい説明するから、みんなはまずログアウトして、身体の回復をしてほしいぺん」

《ギルドユニオンオンラインゼーム会議》

XANAに囚われていたメンバーがログアウト後、その他のメンバーでオンライン会議が開かれていた。

「――ということで三時間後、安全にログインできることになったので、よいたろうさんとアヒル隊長の救出のため、地下迷宮オブロの攻略に向かいたいパッション。とりあえず参加可能な人だけで、パーティー編成するよ。詳細はぺんちょさんから、パッション――!」

サブギルマスのパッションソルトさんが発言した。

「えっと、今回ログインできるのは、イブゴーグル所持者だけぺん。それと準備に時間を取られたくないので、第一陣はオブロの準備、つまり職というか、ジョブ設定が完了しているAI秘書のみ参加可能とするぺん」

ぺんちょさんが説明を付け加えた。

「はい。ジャッキーさん、どうぞ」

ジャッキーさんが発言を求めたので、パッションソルトさんが許可を出す。

「ジャッキーです。AR部隊の活躍で、偽イブにブログラムを送り込み、XANAをほぼ正常な状態に戻せました。しかし、まだ偽イブは、オブロ内に影響をもたらしているので、安全というわけではありません。そのことを心して参加してくださいますよう、お願いします」

「ありがとうジャッキーさん。ということです。でもきっと、みんなは日和ったりしないだろうけど、パッション――! XANAのログインログアウトは安全で、オブロでのリスポーンも確認されているけど、未知なるリスクが潜んでいる可能性があることは忘れないでパッション! では、ぺんちょさん続きを」

「オブロは一度攻略され、再構築されてるぺん。現在、地下第十階層で、正式バージョンに移行してるぺん。だから、一日で攻略できるようなものではないぺん。そのため、他のギルドにも、参加要請を出してるぺん。では、参加する人は申し出てぺん」

「おまえらー、日和ったりしてる奴はいねーよなあ? パッションー!」

「ソルトちゃん、それもうけっこう古いネタぺん」

「パッション……」

(著作:Jiraiya/ 編集:オーブ)

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