Story– archive –
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目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件
マミがいつになく大声で叫んだ。 俺は足を路面につけて、ブレーキをかける。 急には止まれない。 「早く止まって――!」 「待て、慌てるな、今止まるから、どうしたんだ?」 「なにかが来る……」 マミが言い終わらないうちに、俺にもなにかが来るのが見えた... -
目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件
お気に入りのスケボーに乗って、パッションソルトのオムライス店に着いた。 店員AIのミルちゃんに、スペシャルオムライスを注文する。 スペシャルは、通常のオム(ライス)よりも五割増しの価格だが、スタミナアップだけでなく、スケボーのスピードアッ... -
僕とメタバース
《はじめまして、XANAの世界へようこそ》 振り向くと、すらりとしたヘヴンがこちらをみてにこりと微笑む。ヘヴンの実際の姿をみて、ほんの少し嬉しい気持ちになる。僕はしばらく彼女を見つめていたけれど、彼女は何も言わなかった。僕の言葉を急かしたり、... -
黎明
翌日は休みだったので、慎吾は普段よりも遅い時間に起床し、ゆったりと朝食を食べていた。 その時、携帯に通知が入った。ユリからの着信だ。『XANA』内にいなくても保有するパートナーとこうしてやり取りは出来る。 『マスターに来客です。いかがいた... -
目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件
「えっと、それじゃこれからすることだが、まずは情報収集したいと思う」 「すみませんマスター、通信の異常については、ずっとマザーⅡ(第二世代AIマザー)に問い合わせているのですが、全く返事が来ません。繋がってはいるようなのですが……」 「ミサキも... -
僕とメタバース
「……お疲れ様です」 誰もいない社内の電気を消しながら、僕はそうこぼす。もちろん、誰かが言葉を返してくれることもない。僕は伸びを一つすると、クマのキャラクターのついた古いキーホルダーのついたバックパックを背負い直して社員証をしまう。この世界... -
黎明
日浅慎吾《ひあさ しんご》は仕事中だった。 最低限の家具やインテリアを揃えたようなシンプルな部屋。 慎吾の眼前には宙で複数のウインドウが表示されており、手元に浮く半透明のキーボードを用いて、一つの文書を作成していた。 そんな彼の傍で控... -
目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件
「マスター、何ニヤニヤされているんですか? 気持ち悪いです――」 ヒメミの冷たい視線を感じて、俺は物思いから覚めた。 「あっすまん、ちょっと妄想を……」 「で、殿、拙者たちは何をすればよいでござるか……命じていただければなんでも致しますぞ、どんな...